以前の記事で、現在市場で最高峰の一つとされているTHB工場のオーデマピゲ ロイヤルオーク 15407ダブルバランスホイール オープンワークV3エディションをご紹介しました。
しかし、このレプリカ時計業界の動きは驚くほどスピーディです。THBがこのモデルをリリースした直後、突如として「OCTA」という新しいメーカーが市場に現れ、「自分たちの15407こそが最高傑作だ」と大々的に主張し始めました。本日は、この新興メーカーに関する噂の真相に触れつつ、特別な「CNCカスタム仕様の15407」とTHB工場版を直接比較し、真のオーデマピゲ レプリカの頂点を探っていきます。
新顔「OCTA」とAPS工場の奇妙な関係
OCTAの登場後、多くの時計ファンの間で「OCTAは過去のAPS工場の製品をそのまま販売しているのではないか?」という噂が飛び交いました。
最も可能性が高いのは、何者かがAPS工場の部品サプライヤーと接触してパーツを調達し、「OCTA」という新しい名義で複数のオーデマピゲモデルを展開しているというシナリオです。市場は常に新しい名前で溢れますが、中身を見極める冷静な目が必要です。
妥協なき戦い:CNCカスタム 15407 vs THB工場
さて、本題に入りましょう。THB工場の15407 V3は全体的によく出来ていますが、ケース形状などにはまだ明らかな欠点が存在します。
本日は、よりハイエンドな「CNC削り出しケース」を採用したカスタム版15407と、THB工場版の決定的な違いを比較していきます。※(比較画像では、左がCNCカスタム版、右がTHB工場版です)
① ケースのクリアランスの違い

赤矢印で示されたケースの特定部分に注目してください。パーツ間のスペースが、両者で明確に異なっています。CNCカスタム版(左)は、より実機に忠実で洗練されたプロポーションを実現しており、削り出し加工ならではのエッジの効いた仕上がりが際立っています。
② 「ダブルバランスホイール」の真実
ここが最も重要なポイントです。オーデマピゲ ロイヤルオーク スーパークローンにおいて、その名の通り「ダブルバランス」構造が再現されているかは死活問題です。 驚くべきことに、左側のCNCカスタム版は本物のダブルバランスホイール構造を採用していますが、右側のTHB版は外観こそ似せているものの、実際には「シングルのテンプ」しか搭載していません。メカニズムの再現度において、大きな差が生じています。
③ テンプブリッジのカラーリング

スケルトンダイヤルから覗くブリッジの色合いにも微妙な、しかし確かな違いがあります。右側のTHB版は色が明るすぎ、少し浮いた印象を与えます。一方、左側のCNCカスタム版はトーンが暗く深く沈んでおり、純正のローズゴールド特有の重厚な色合いに非常に肉薄しています。
④ バランスホイールのサイズと形状

細部へのこだわりはテンワにも表れています。右側のTHB版は、テンワのサイズがわずかに大きすぎます。赤ペンで示されたように、左側のCNCカスタム版はテンワの外周がより薄くシャープに作られており、オープンワーク特有の繊細な美しさを完璧に表現しています。
総評
THB工場のV3も素晴らしい完成度ですが、真のロイヤルオーク レプリカを追求するマニアにとっては、ダブルバランス機構や細部のプロポーションを極限まで実機に寄せたCNCカスタム版の方が、圧倒的に所有欲を満たしてくれる至高のオーデマピゲ N級品と言えるでしょう。
A1: 完全に同じとは言えません。OCTAはAPS工場の部品サプライヤーからパーツを調達し、組み立てて販売している可能性が高いと市場では見られています。
A2: 外観のクオリティは高いものの、オリジナルの最大の特徴である「ダブルバランスホイール」構造が完全には再現されておらず、実際にはシングルのテンプしか搭載されていない点が最大の弱点です。
A3: 本物のダブルバランスホイール構造を採用している点に加え、ブリッジのローズゴールドの色合いがより本物に近く、バランスホイールのリムが薄く繊細に作られている点など、細部のディテールにおいてTHB版を大きく上回っています。
A4: CNC(コンピュータ数値制御)マシニングによって、金属の塊から極めて高い精度で削り出されたケースのことです。量産型の鋳造ケースと比べて、エッジのシャープさや各パーツのクリアランスがオリジナルと寸分違わぬレベルで仕上がるため、ハイエンドなカスタムモデルに重宝されます。
